UO暦4ヶ月、あやの日記です。 大和シャードで、気まぐれにお散歩してます。
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「そっかぁ……。そういう時期ってあったなぁ。私にも」あやかが、不意に遠い目をする。「始めた頃って、いろいろ新鮮で楽しかったな」
あんたは、今でもじゅうぶん楽しそうだし……。あやは内心で苦笑する。 あやかが続ける。 「ね、そろそろお腹空かない? 私、もうぺこぺこなんだけど」 そう言われてみると、部屋に落ちる影が、灰色に滲んできている。そして、日のあたっている部分は、薄い朱色に染まっている。 「私、炉を持ってくるね」と、あやなが立ち上がる。 「あ、じゃあ、料理の方、お願いしといていいかな」と、あやも立ち上がり2人に告げる。「私、ちょっと双子ちゃん達、迎えに行ってくるから」 「あぁ、そうそう。その前に」あやかが、あやに声をかける。「あのワニ、連れてく? まだお庭にいたみたいだけど、リリースするんでしょ?」 「それがねぇ」あやが、微妙な笑みを浮かべる。「あげちゃったの、あやのちゃんに。欲しいっていうから」 あやはそう答えると、あやなが、なぜか目を丸くしているのを横目で見ながら、部屋を出て行く。 騎士魔法で、あやはヘイブン銀行前に降り立つ。そして、きょろきょろと辺りを見回す。 夕日はすでに、山の向こうに落ちてしまっているようで、その赤い名残だけが、まだうっすらと残っている。空気も、さっきまでより冷たく感じられる。 まあ、夜だって、ここではそんなに危なくはないんだけどね。 だけど、食事は一緒にしないと。家族なんだから。実際、彼女達の家―チョコレート・コスモスでは、よほどのことがない限り、特に夕食は皆で一緒に摂る。「晩御飯までには帰ってくるのよ」とは言ったものの、その辺りのことが、双子にはちゃんと伝わってなかったかも。 よっぽど楽しいのかも知れないけど。あやは、また昔の自分を思い出す。双子―あやねとあやのが来てから、なぜかそうなる。 うん。何に夢中になってるんだろ。 初日のことではあるし、決まりを破ったからといって、べつにあやは怒ってはいない。まあ、ひとこと言うくらいのことはしようと思う。だけど、それより、今日一日、2人が何をやったのか、訊いてみるのが楽しみな気がする。 と、あやの耳に、微かに歌声が飛び込んできた。それも、1人ではない。コーラスのようだ。 ともあれ、あやは歌声のする方へと向かってみる。 そして、あぁ、あれかぁ……と、了解する。 4人の歌い手がカラフルな衣装を着て、くるくるまわりながら歌うコーラス・グループ。 知らなかったな。ここに来てたんだ。だけど、あれかな……、そんな噂も聞かなかったし、ゲリラ・ライブかしら。 思わず、あやは足を止める。ほんと、こういうのもいいな。あやかとあやなを待たせてるんじゃなかったら、ゆっくり聴いてたいけど。そして、あやは観客の中に、探している2人―あやねとあやのを見つける。2人は、食い入るように舞台を見つめている。 ここで声をかけるのは、なんだかかわいそうな気がする。それくらい熱心に、2人は曲に聞き入っている。 もう2、3曲くらいなら待ってもいいかな。まだあどけなさの残る、舞台に夢中なその横顔を見ながら、あやは思う。そのうちに、2人のうちのどちらかが私に気付くだろう。いや、気付くのはたぶん2人同時だろう。 2人の、今日一日の土産話を訊くのはそれからでいいし。 初夏の夕暮れ時、あやはしばし心地良い感慨に浸る。 (第3部 了) |
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「まあ、相談ってほどのことじゃないけど」と、あやが話し始める。
あやなは、すぐにキッチンに戻ってきた。あやかはお茶を淹れながら、あやに顔を向ける。 「あやねちゃん1人が来ると思ってたんだけど、もう1人、あやのって子が来て……。まあ、双子だから一緒にって、分からなくもないけど」 「もちろん、ウェルカムだけど」あやかが言う。「やっぱ、家族って多い方が楽しいし」 「うん」と、あやなも同意する。 「うんうん、それでね」あやが続ける。「さしあたり、やっとくことってあるかな。ルーンとかポットはあやかに、服や装備はあやなに任せるけど」 2人がうなずく。 「あとね、部屋割りね。空いてる部屋をあやねちゃんに準備したけど、もう一部屋作った方がいいかな、やっぱり」 「ん〜、物置きを片付けるって手もあるけど、それじゃ、かわいそうかもだし……、ねえねえ、いっそのこと、家を建て直すってのは、どう?」 そう主張するあやかは、はしゃいでいるようにも見える。 あやが答える。 「お金かかるよ。アイテム整理も大変だし」 「えっとね」と、あやか。「私も狩り、協力しようかと。前から思ってたんだけど、いい機会だし」 あやは考える。 「あのね、私が通ってるところは、あんたにはまだきついと思う……」 「あ、いやいや、とーんでもない。お姉ちゃんの行ってるとこなんか。あの、あやなのね裁縫に使う皮……」 「うん」と、あや。 「そのね、布だけじゃ、もうスキルが上がりにくくなったみたいで。ね、あやなちゃん」 あやなは、うなずく。 「それで、皮採集は、しばらく私が担当しようかなと。それだと、お金も稼げるし一石二鳥」 あやは、もう一度考える表情を作って、「いいんじゃないかな、それ」と答える。そして、あやなの方を向いて、「赤い皮もいるかな」と訊いてみる。 「それ、無理……」 あやなは、首を振る。 そして今度は、あやながしゃべりだす。 「あの、私、何を作ったらいいかな。その2人の為に」 「ん〜、直接訊いてみたらいいと思うけど……、」と、あやかが言いかけて、「ね、お姉ちゃん。その双子って、どんな感じ? 性格とか」と、あやに話を振る。 「まだ、分からないわよ。さっき、会ったばっかりだし。あ、だけどね、なんか同じ子が2人いる感じかな」 「それ、さっきも言ったけど。よく、分かんないよぉ、それじゃ」 「えっとね、とりあえず2人のうち1人に、髪型と髪の色を変えてもらったんだけど、同じ顔で、体格も同じくらいで、雰囲気もそっくり」 「……」 「それで、髪が黒くて長い方があやねで、白っぽいショートがあやの」 「その2人はここで、何をやるの?」と、あやな。 「うん。まだ決めてない。私達もそうだったじゃない。それで今、2人はヘイブンで遊んでる……、まあ、遊んでいるうちに、やること決まってくると思うし」 そう答えて、双子の帰宅が遅いことに、あやは気付く。 (続く) |









